夫婦別産制

安藤税理士法人の土屋です。例えば夫が会社に勤めて収入を得て、妻が専業主婦として家事労働を行う家庭において、稼いだお金を「夫婦二人で築いた財産」とする考えに、多くの人が同意することでしょう。

ではこの夫の給与所得を、夫2分の1、妻2分の1の所得として確定申告しても良いでしょうか?答えはNOです。

日本の所得税法では、稼得者個人を単位とした課税方法を採用しています。したがって原則、夫婦単位や世帯単位での課税はされません。

そして日本の民法は【夫婦別産制】を採用しています。これは「夫が得た財産は夫のもの、妻が得た財産は妻のもの」という原則です。

これら税法や民法は、かつての家制度を軸とした「夫婦の財産は夫(家長)のもの」とする封建的な考えを撤廃し、夫婦の本質的平等と個人主義的立場から成立したものです。

しかしながら夫婦別産制に厳格に従うと、専業主婦が夫の稼得行為にどれだけ貢献しようとも、財産形成においては一切評価されないことになります。

夫の収入を原資として購入したものは全て夫の資産となり、所得税も資産税も課税対象は夫です。もし不動産などの高額資産を原資と乖離した名義で購入すると、多額の贈与税がかかる可能性もあります。収入の無い妻が財産を築くには贈与を受ける必要があるからです。

この不平等に対し民法は「離婚時の財産分与請求権」「死亡時の相続権」「婚姻中の扶養請求権」を規定し、財産を形成できない配偶者の権利を保障することで、所得格差のある夫婦の経済的平等に配慮しています。

とはいえ、これらの権利は「離婚時に財産を分け与えてもらう権利」「配偶者が所有する財産を半分相続する権利」に過ぎず、婚姻中に得たものは夫婦二人の財産なのだと規定しているわけではありません。

なお昭和36年の最高裁では、上記の権利のような「実質的不平等の是正」を前提とした上で、税法・民法における夫婦別産制は憲法第24条の「両性の本質的平等」には違反しないとの判決がなされています。

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