生命保険金と特別受益

安藤税理士法人の土屋です。被相続人が保険料を負担し、死亡した際に支給される生命保険金を相続人の1人が受け取った場合、この保険金は相続財産になるでしょうか?

税法上は、相続財産として扱われます。つまり相続税の課税対象となります。なお相続人の数に応じた非課税枠があることから、現金や預金が残っているのであれば有効な相続税対策と言えます。

一方、民法上は、原則この保険金を相続財産と見なしません。つまり遺産分割の対象となりません。受取人が指定されている生命保険金(保険金請求権)は、受取人の固有の財産であると考えられます。したがって、受取人以外の相続人が法定相続分や遺留分を根拠に権利を主張することは出来ません。

ただし、相続人間の不公平感が著しい場合、例外的に特別受益として考慮することも可能です。特別受益とは相続人間の不公平是正を目的とした制度で、被相続人から遺贈や生前贈与を受けた相続人がいる場合、その受け取った分を相続財産に持ち戻して計算することになっています。

生命保険金が特別受益と認められた事例として、以下のような判例があります。

平成17年の東京高裁では、保険金額(1億129万円)が遺産総額(1億134万円)の99%を占めており、特別受益として持ち戻しの対象とされました。この事例では、当初受取人が被相続人の妻であったものの、妻が先に他界したため被相続人の子のうち1人が受取人となっており、被相続人と同居もしておらず、扶養や介護を託すといった明確な意図も認められませんでした。

平成18年の名古屋高裁では、被相続人の妻が取得する保険金額(5200万円)が遺産総額の61%を占めること、また被相続人と妻の婚姻が3年5ヶ月程度の短期間であることを鑑み、その他の相続人との不公平が著しいとして特別受益と認定されました。

生命保険金が特別受益に該当するかどうかは、保険金の金額や遺産総額に対する割合に加え、受取人・被相続人・その他の相続人の関係が総合的に考慮されます。とはいえ上記の判例のような極端な場合に限るため、原則は特別受益に当たらないとして問題ありません。

相続税の非課税枠があり、かつ遺産分割や持ち戻しが無いので、財産を遺したい人へ遺す方法として生命保険をお薦めします。

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