預貯金の遺産分割

安藤税理士法人の土屋です。今回は被相続人の預貯金の取り扱いについてお話しします。

預貯金は相続財産の中で最も典型的なものの一つです。不動産や株式は所有していない場合でも、預貯金がいくらか残っていることは多いと思います。相続が発生すれば、当然この預貯金を相続人が引き継ぎます。

では、被相続人名義の預貯金は遺産分割の対象になるでしょうか?遺産分割とは、遺言があれば遺言通りに、遺言がなければ話し合い(協議)を行って遺産を分けることを言います。

簡単な問いのようですが、これに関しては2通りの判例が存在します。

・平成16年4月の最高裁判決では、預貯金は当然に(自動的に)法定の相続割合で分けられるとし、遺産分割の対象ではないと判断されました。

・平成28年12月の最高裁判決では、預貯金は法定の相続割合で機械的に分配されず、遺産分割の対象であると判断されました。

不動産や株式、現金や美術品などは遺産分割の対象です。すなわち、これらの財産を誰が相続するか決めるには遺言や遺産分割協議が必要となります。

一方、従来(平成28年以前)預貯金を含む可分債権は遺産分割の対象とはみなされず、相続発生と同時に分割継承されるため、遺産分割を経ずともそれぞれの相続人が金融機関に対して払い戻しを請求することができました。

しかし実際には、金融機関が一相続人の請求に応じて即座に払い戻しを行うことは多くありませんでした。金融機関によって対応は異なりますが、多くの場合「遺産分割協議書」や「法定相続人全員の承認(押印)」を求めており、実質遺産分割を行わないと預貯金を引き出せないのが現状です。

これが平成29年以降、預貯金も遺産分割の対象となったため、金融機関の対応もさらに厳しくなることが予想されます。遺産分割終了まで被相続人の口座が完全に凍結されてしまう可能性も高いです。

葬儀費用や相続税、扶養されていた人の生活費など、相続発生後すぐにでも現金が必要となる場合も多いため、早めの対策が重要です。

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