相続税と養子縁組

安藤税理士法人の土屋です。現在、相続税の基礎控除額は【3000万円+600万円×法定相続人の数】と定められています。したがって法定相続人が多いほど控除額も多くなります。

そのため、被相続人を養親とする養子縁組が、相続税の節税に有効なスキームとして知られています。ただ養子を取れば無限に相続税が減らせるというわけではなく、相続税法上、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで養子を控除対象の法定相続人数に含めることができます。

よくあるのが、被相続人とその孫が養子縁組を行うというケースです。養親と養子の合意のもと届出を一通提出するだけなので、コストも手間もかからない節税方法とされています。

平成29年1月に、このような節税を目的とした養子縁組が有効かどうかの裁判で、最高裁の判決がでました。

今回の事案は、被相続人の男性が孫(長男の息子)と養子縁組を結んだのが発端で、「節税目的の養子縁組であり、無効だ」として長女と次女が提訴したものです。

養子縁組については、長男が連れてきた税理士が「相続税の節税効果がある」と説明していた経緯があり、一審では有効、二審では「専ら節税を目的としており、当事者間に親子関係を創設する意思はなかった」として無効の判決がなされていました。

これに対し最高裁は、「節税の動機と縁組の意思は併存し得るものである。専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、ただちに縁組の意思がないとは言えない」として、養子縁組は有効と判断しました。

今回は民法上の縁組が有効かどうかを争った裁判であったので、相続税法上で有効である(税務署に否認されない)と結論が出たわけではありません。相続税法63条には「養子縁組が相続税を不当に減少させる場合は否認できる」という趣旨の定めがあります。

とはいえ、この法律を根拠に否認された例はほとんど無く、当事者間の正しい合意のもとなされた縁組(つまり民法上有効な縁組)であれば、不当な租税回避行為ではないと解釈するのが妥当だと思います。

相続税対策としての養子縁組が広まるなか注目された裁判は、現状を追認した判決となりました。

カテゴリー: スタッフブログ 土屋, 相続対策 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.