安藤税理士法人の土屋です。今年7月に、法務省は「法定相続情報証明制度」を創設すると発表しました。
現在、相続手続きをする際には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員分の戸籍謄本など、大量の資料を集める必要があります。
複数の銀行や証券、不動産の手続きを並行して進めようとすると、これらの各書類を複数用意しなければなりません。
これは手間も費用も掛かり、相続人にとっては大きな負担です。そのためいつまでも名義変更されない不動産が残ったり、それが空き家問題の原因になったりもしています。
今回発表された「法定相続情報証明制度」は、法務局が相続関係書類を「相続情報証明書」として一括で発行し、相続時それを各機関の手続きに使用できるようにする、というものです。
しかも現段階で、この発行は「無料」とのことです。
書類を何通何十通と取得し提出する手間も費用もなくなるので、相続人にとって非常に良い制度と言えると思います。また提出先の各機関にしても、戸籍書類の確認作業に要する手間を削減できるので、享受するメリットも大きいのではないのでしょうか。
一方で、法務局の負担が大きくなることが予想されます。持ち込まれた戸籍謄本を一から確認し証明書を発行するという作業(しかも無料)が丸々増える訳ですが、法務局の体制が十分整っているかは不明です。
平成29年5月運用開始として準備を進めているとのことで、今後の正式な制度概要の発表が待たれます。