生命保険の課税関係

こんにちは安藤税理士法人の鬼頭です。今回は生命保険についての課税関係をまとめました。生命保険は、以下の項目が誰なのかにより課税関係が変わります。

・ 契約者

・ 保険料負担者

・ 被保険者

・ 保険金受取人

被保険者の死亡により生命保険金を受け取った場合には、保険料負担者から生命保険金を受けとったものとされ、以下の区分により課税の対象となります。

1.亡くなられた方が保険料を負担していた場合 → 相続税

2.保険金を受け取った本人が保険料を負担していた場合 → 所得税

3.1.2以外の人が保険料を負担していた場合 → 贈与税

 

1. 亡くなられた方が保険料を負担していた場合には相続税の課税対象となります。保険金を受け取られた方が相続人である場合には、法定相続人×500万円が非課税の金額になります。

2. 生命保険金を受けとった本人が保険料を負担していた場合には、所得税の一時所得として課税対象となります。(保険金-支払保険料-50万)×50%が所得になります。

3. 1.2以外の人が保険料を負担していた場合には贈与税の課税対象となり、生命保険金-110万円(贈与税の基礎控除額)が所得となります。

 

上記とは別で、保険事故が未発生の生命保険契約で、亡くなられた方が保険料を支払っていた場合には、相続税の課税対象となり、契約者が解約返戻金相当額を相続により受け取ったものと扱われます。生命保険の名義と被保険者が子供で、親が保険料を負担していたものなどが該当します。この場合に子供に保険料相当額を渡し、子供が保険会社へ保険料を支払っているのであれば相続税の課税対象とはならず、親から子供へ渡した保険料が贈与税の対象となります。

カテゴリー: スタッフブログ 鬼頭 | コメントする

夫婦別産制

安藤税理士法人の土屋です。例えば夫が会社に勤めて収入を得て、妻が専業主婦として家事労働を行う家庭において、稼いだお金を「夫婦二人で築いた財産」とする考えに、多くの人が同意することでしょう。

ではこの夫の給与所得を、夫2分の1、妻2分の1の所得として確定申告しても良いでしょうか?答えはNOです。

日本の所得税法では、稼得者個人を単位とした課税方法を採用しています。したがって原則、夫婦単位や世帯単位での課税はされません。

そして日本の民法は【夫婦別産制】を採用しています。これは「夫が得た財産は夫のもの、妻が得た財産は妻のもの」という原則です。

これら税法や民法は、かつての家制度を軸とした「夫婦の財産は夫(家長)のもの」とする封建的な考えを撤廃し、夫婦の本質的平等と個人主義的立場から成立したものです。

しかしながら夫婦別産制に厳格に従うと、専業主婦が夫の稼得行為にどれだけ貢献しようとも、財産形成においては一切評価されないことになります。

夫の収入を原資として購入したものは全て夫の資産となり、所得税も資産税も課税対象は夫です。もし不動産などの高額資産を原資と乖離した名義で購入すると、多額の贈与税がかかる可能性もあります。収入の無い妻が財産を築くには贈与を受ける必要があるからです。

この不平等に対し民法は「離婚時の財産分与請求権」「死亡時の相続権」「婚姻中の扶養請求権」を規定し、財産を形成できない配偶者の権利を保障することで、所得格差のある夫婦の経済的平等に配慮しています。

とはいえ、これらの権利は「離婚時に財産を分け与えてもらう権利」「配偶者が所有する財産を半分相続する権利」に過ぎず、婚姻中に得たものは夫婦二人の財産なのだと規定しているわけではありません。

なお昭和36年の最高裁では、上記の権利のような「実質的不平等の是正」を前提とした上で、税法・民法における夫婦別産制は憲法第24条の「両性の本質的平等」には違反しないとの判決がなされています。

カテゴリー: スタッフブログ 土屋 | コメントする

配偶者の税額軽減

こんにちは安藤税理士法人の鬼頭です。サッカーのワールドカップでは日本が決勝トーナメントに進みました。次は優勝候補の一角であるFIFAランキング3位のベルギーとの試合です。試合開始は明日の7月3日(火曜日)の午前3:00です。

さて今回は相続税における配偶者の税額軽減(配偶者控除)について紹介したいと思います。配偶者の税額軽減とは、相続税の計算において非常に重要な制度です。相続により配偶者が遺産を取得した場合には、以下の金額のうちどちらか大きい金額までは相続税がかかりません。

1.法定相続分

2.1億6,000万円

これは、配偶者が被相続人の財産を共に築いてきたこと、配偶者の老後の生活保障、配偶者は被相続人と同世代であり短期間のうちに同じ財産に相続税が2回かかることを避けることを考慮して設けられた制度です。

この制度を受けるには

1.戸籍上の配偶者であること(内縁関係の場合には受けれません)

2.相続税の申告書を提出すること

3.遺産分割が完了していること

が条件となります。

期限後申告、修正申告でも配偶者の税額軽減の適用は受けることができますが、遺産分割が申告期限から3年を超えた場合、遺産を意図的に隠した場合等は受けることができませんのでご注意ください。

カテゴリー: スタッフブログ 鬼頭 | コメントする

【家なき子特例】の改正

安藤税理士法人の土屋です。今回は【家なき子特例】とその税制改正についてお話しします。

【小規模宅地等の特例】を適用すれば、故人と同居していた家を相続する場合、その宅地の330㎡までについて相続時の評価額を80%減額することができます。この特例は「相続人が今の家に住み続けるために多額の相続税を納めなければならず、場合によっては家を売らなければならない」という事態を回避するための制度です。

ただこの制度では、対象の相続人が配偶者か同居していた親族に限られるため、例えば相続発生時に転勤等で一時的に家を離れていた子など、本来その家に住んでいたい(今後住みたい)がやむを得ず離れて賃貸に住んでいる人は対象外となってしまいます。

そこでこの制度の穴を補完するのが、通称【家なき子特例】です。この特例では、被相続人に配偶者も同居している相続人もいなかった場合、「持ち家に住んでいなかった相続人」も小規模宅地等の特例の適用対象となります。

ただし「持ち家に住んでいなかった相続人」であるには、相続発生時より遡って3年以上、相続人本人だけでなくその配偶者も持ち家に住んでいないことが条件になります。家を持たず今後相続した宅地に住むことを、名目だけでなく実質的に前提とするためにこのような条件が設定されています。

しかし前述した従来の制度では、以下のような手段で無理やり特例の適用を受けることが可能でした。

  • 相続人が自分の持ち家を親族に売却または贈与し、親族名義の家に住み続ける。
  • 親(被相続人)が購入した宅地に子(相続人)を住まわせる。
  • 子(相続人)ではなく孫が相続する。

それが平成30年4月1日以降、無効となりました。今回の税制改正により適用除外とされたのは以下の者が相続する場合です。

  • 相続開始前3年以内に、3親等内の親族または特別の関係のある法人が所有する家屋に居住したことがある者
  • 相続開始時に居住していた家屋を過去に所有していたことがある者

つまり事実上持ち家に住んでいるにも関わらず名義変更等で無理やり制度を利用することは、今後不可能となりました。

制度を有効活用し節税を行うことは重要ですが、本来の趣旨とは異なる方法で適用を受けようとすると租税回避行為と見なされます。今回は制度の抜け道を塞ぐための改正でした。

カテゴリー: スタッフブログ 土屋, 相続税の改正 | コメントする

相次相続控除

安藤税理士法人の土屋です。今回は「相次相続控除」についてお話しします。

相続は精神的にも金銭的にも負担の掛かるものですが、身近な肉親が立て続けに亡くなるという話は珍しくありません。例えば、父親が亡くなった後、数年のうちに今度は母親が亡くなったという場合、短期間に2度の相続が発生することになります。このように相次いで相続が発生することを「相次相続」といいます。

1回目の相続時に父親の財産を母親が相続し相続税を支払い、4年後2回目の相続時に母親の財産を子が相続するとします。この場合、4年という短い期間では、1回目の相続財産が丸々残っている可能性もあります。すると、たった4年のうちに同じ財産に対し2度も相続税が課せられることになってしまいます。

それでは相続人の負担が大きすぎるということで、このような二重の税負担を回避するための制度が「相次相続控除」です。この制度では「相続財産に対し、1回目の相続で課された相続税より【1回目から2回目までの経過年数×10%】を逓減した金額」を相次相続控除額として、2回目の相続に課される相続税より控除できます。

また相次相続控除を適用するには以下3つの要件に該当する必要があります。

  • 相続人であること
  • 今回の相続発生前10年以内に発生した相続により被相続人が財産を取得していること
  • 前回の相続で被相続人に相続税が課されていること

前述の例では、子は母親の相続人であり、母親は4年前の相続で財産を取得しており、その際に母親は相続税を支払っているので、子が相次相続控除を適用できることがわかります。

仮に母親が1回目の相続時に8000万円受け取り500万円の相続税を納めており、2回目の相続発生時の財産6000万円を全て子が相続する場合、

500万円×(6000万円/8000万円-500万円)×(10年-4年)×10%=240万円

つまり、2回目の相続で子が支払う相続税から240万円差し引くことができます。

この特例は申請して初めて適用できる制度ですので、該当する可能性がある場合は、忘れずに申請を行ってください。

カテゴリー: スタッフブログ 土屋, 相続手続き | コメントする

株式の評価方法

こんにちは安藤税理士法人の鬼頭です。今回は相続税における株式の評価方法を紹介したいと思います。まず株式は大きく分けて、

1. 上場株式

2. 取引相場のない株式(非上場株式)

の二つに分類されます。

 

1.の上場株式については、原則として以下の価額のうち一番低い金額が評価額になります。ただしその株式に権利落などがある場合には、一定の修正をすることになっています。

①亡くなられた日の終値

※亡くなられた日に取引がなかった場合、その前後で一番近い日の終値。

(複数ある場合はその平均額)

②亡くなられた日を含むその月の全終値の平均額

③亡くなられた日を含むその月の前月の全終値の平均額

④亡くなられた日を含むその月の前々月の全終値の平均額

 

2.の取引相場のない株式については、大会社、中会社、小会社の区分に応じて、それぞれの評価方法を用いて計算します。

・大会社 類似業種比準価額、または純資産価額

・中会社 中会社をさらに大中小の区分に分けそれぞれの区分に応じ、類似業種比準価額と純資産価額を併用して計算した金額、または純資産価額

・小会社 純資産価額、または(類似業種比準価額×50%+純資産価額×50%)

 

類似業種比準価額とは、おおざっぱに言うと株価、配当金額、利益金額の三つの要素を用いて事業の類似した上場株式に比準して計算します。純資産価額とは、会社の資産負債を相続税評価額に引き直し、そこから含み益に対する法人税相当額を差し引いて計算します。

上場株式の評価は比較的簡単に計算できますが、取引相場のない株式(非上場株式)の評価はとても煩雑です。自社株の評価額がいくらになるだろうと思った方は一度専門家にご相談されるといいと思います。

カテゴリー: スタッフブログ 鬼頭 | コメントする

生命保険金と特別受益

安藤税理士法人の土屋です。被相続人が保険料を負担し、死亡した際に支給される生命保険金を相続人の1人が受け取った場合、この保険金は相続財産になるでしょうか?

税法上は、相続財産として扱われます。つまり相続税の課税対象となります。なお相続人の数に応じた非課税枠があることから、現金や預金が残っているのであれば有効な相続税対策と言えます。

一方、民法上は、原則この保険金を相続財産と見なしません。つまり遺産分割の対象となりません。受取人が指定されている生命保険金(保険金請求権)は、受取人の固有の財産であると考えられます。したがって、受取人以外の相続人が法定相続分や遺留分を根拠に権利を主張することは出来ません。

ただし、相続人間の不公平感が著しい場合、例外的に特別受益として考慮することも可能です。特別受益とは相続人間の不公平是正を目的とした制度で、被相続人から遺贈や生前贈与を受けた相続人がいる場合、その受け取った分を相続財産に持ち戻して計算することになっています。

生命保険金が特別受益と認められた事例として、以下のような判例があります。

平成17年の東京高裁では、保険金額(1億129万円)が遺産総額(1億134万円)の99%を占めており、特別受益として持ち戻しの対象とされました。この事例では、当初受取人が被相続人の妻であったものの、妻が先に他界したため被相続人の子のうち1人が受取人となっており、被相続人と同居もしておらず、扶養や介護を託すといった明確な意図も認められませんでした。

平成18年の名古屋高裁では、被相続人の妻が取得する保険金額(5200万円)が遺産総額の61%を占めること、また被相続人と妻の婚姻が3年5ヶ月程度の短期間であることを鑑み、その他の相続人との不公平が著しいとして特別受益と認定されました。

生命保険金が特別受益に該当するかどうかは、保険金の金額や遺産総額に対する割合に加え、受取人・被相続人・その他の相続人の関係が総合的に考慮されます。とはいえ上記の判例のような極端な場合に限るため、原則は特別受益に当たらないとして問題ありません。

相続税の非課税枠があり、かつ遺産分割や持ち戻しが無いので、財産を遺したい人へ遺す方法として生命保険をお薦めします。

カテゴリー: スタッフブログ 土屋, 相続手続き | コメントする

小規模宅地等の特例

こんにちは安藤税理士法人の鬼頭です。今回は相続税における小規模宅地等の特例を紹介したいと思います。小規模宅地等の特例とは、亡くなられた方や亡くなられた方と生活を共にしていた家族(同一生計親族)の事業用や居住用の宅地について、相続税の負担により相続後の生活に支障が出ないようにするために設けられた特例で、一定の要件を満たした場合に以下の面積までその宅地の評価額が80%または50%減額されます。

1. 被相続人等の事業用の宅地 「事業用宅地」 400㎡まで80%減額

2. 被相続人等の居住用の宅地 「居住用宅地」 330㎡まで80%減額

3. 被相続人等の貸付事業用の宅地 「貸付事業用宅地」 200㎡まで50%減額

相続財産に宅地が複数ある場合には「事業用宅地」400㎡、「居住用宅地」 330㎡、「貸付事業用宅地」 200㎡の合計930㎡について特例が受けれるわけではなく、以下の方法により計算します。

 

・「事業用宅地」、「居住用宅地」について特例を受ける場合

「事業用宅地」の面積≦400㎡+「居住用宅地」の面積≦330㎡ 合計730㎡まで特例を受けることができます。

 

・「貸付事業用宅地」と「事業用宅地」と「居住用宅地」について特例を受ける場合

「貸付事業用宅地」の面積+「事業用宅地」の面積×200/400+「居住用宅地」の面積×200/330 ≦200㎡ 換算した面積の合計が200㎡まで特例を受けるとこができます。

 

この特例を選択する場合には「貸付事業用宅地」については、50%減額であることや「事業用宅地」の面積、「居住用宅地」の面積を200㎡換算しその合計が200㎡以下までとなるため、「事業用宅地」、「居住用宅地」について特例を受けたほうが有利になる場合が多いです。

カテゴリー: スタッフブログ 鬼頭 | コメントする

預貯金の遺産分割

安藤税理士法人の土屋です。今回は被相続人の預貯金の取り扱いについてお話しします。

預貯金は相続財産の中で最も典型的なものの一つです。不動産や株式は所有していない場合でも、預貯金がいくらか残っていることは多いと思います。相続が発生すれば、当然この預貯金を相続人が引き継ぎます。

では、被相続人名義の預貯金は遺産分割の対象になるでしょうか?遺産分割とは、遺言があれば遺言通りに、遺言がなければ話し合い(協議)を行って遺産を分けることを言います。

簡単な問いのようですが、これに関しては2通りの判例が存在します。

・平成16年4月の最高裁判決では、預貯金は当然に(自動的に)法定の相続割合で分けられるとし、遺産分割の対象ではないと判断されました。

・平成28年12月の最高裁判決では、預貯金は法定の相続割合で機械的に分配されず、遺産分割の対象であると判断されました。

不動産や株式、現金や美術品などは遺産分割の対象です。すなわち、これらの財産を誰が相続するか決めるには遺言や遺産分割協議が必要となります。

一方、従来(平成28年以前)預貯金を含む可分債権は遺産分割の対象とはみなされず、相続発生と同時に分割継承されるため、遺産分割を経ずともそれぞれの相続人が金融機関に対して払い戻しを請求することができました。

しかし実際には、金融機関が一相続人の請求に応じて即座に払い戻しを行うことは多くありませんでした。金融機関によって対応は異なりますが、多くの場合「遺産分割協議書」や「法定相続人全員の承認(押印)」を求めており、実質遺産分割を行わないと預貯金を引き出せないのが現状です。

これが平成29年以降、預貯金も遺産分割の対象となったため、金融機関の対応もさらに厳しくなることが予想されます。遺産分割終了まで被相続人の口座が完全に凍結されてしまう可能性も高いです。

葬儀費用や相続税、扶養されていた人の生活費など、相続発生後すぐにでも現金が必要となる場合も多いため、早めの対策が重要です。

カテゴリー: スタッフブログ 土屋, 相続手続き | コメントする

奨学金

安藤税理士法人の山田です。奨学金制度は経済的理由などで進学に必要な学費や生活費を支援してくれる制度で貸与型と給付型の二種類あります。

貸与型とは卒業後、返済の必要があるもので第一種(無利息)と第二種(有利息)があり、給付型は返済する必要がない奨学金になります。

給付型の奨学金を受け取った場合、所得税は「学資に充てるために給付される金品」となるため非課税となり扶養控除から外れることはありません。

ただし、健康保険の組合によって給付型奨学金は「収入」となる場合があるので、アルバイト等の収入と合わせて年間130万円を超える際は扶養から外れる可能性があります。一度、健康保険組合に確認してみて下さい。

貸与型奨学金の返済が困難になり親が肩代わりした場合、子どもへの贈与になり贈与税の対象となります。連帯保証人であったとしても原則、贈与税の課税対象です。そのため、年間110万円以下での返済や繰上げ返済をすれば贈与税はかかりません。

貸与型の奨学金を利用する際は、長期的は返済になるため返済計画を考えた上で利用できるといいですね。

カテゴリー: スタッフブログ 山田, 未分類, 贈与 | コメントする