同性パートナーと相続

安藤税理士法人の土屋です。長年連れ添ったパートナーに自分の財産を遺したいと思うのは、ごく自然なことです。今回は同性パートナーへの相続についてお話しします。

日本では法定相続人として、戸籍上の配偶者が最優先、次いで直系卑属(子・孫など)、直系尊属(父母・祖父母など)、そして兄弟姉妹の順で定められています。パートナーが戸籍上異性であれば、婚姻関係を結ぶことで財産の半分以上を遺すことができます。相続税の控除も受けられます。

しかし平成29年現在、日本では同性婚の制度がありません。したがって戸籍上の配偶者となることができないため、同性のパートナーへ財産を遺すには、事前の対策が必要となります。

両親・兄弟姉妹とパートナーが仲良く話し合える関係であればスムーズに進む可能性もありますが、「親にパートナーを理解してもらえていない」「親族とは絶縁した」という場合も少なくありません。出来る限りパートナーに相続させる方法として、主に用いられている手段は以下の2つです。

【養子縁組をする】

年長者(生年月日が早い方)を養親、年少者を養子として養子縁組を行うと、確実に法定相続人となります。養親に配偶者や実子がいなければ、養親の相続が発生した時点で養子は財産を全て受け取ることができます。

ただし養親より先に養子が亡くなった場合は、養子の両親も同じ順位の法定相続人となるため注意が必要です。また必ず養親の姓にしなければならず、あくまで「親子関係」であり「結婚」とは別物であることから抵抗を感じる人もいます。

【遺言書を書く】

被相続人の希望として遺言書に正式に記すことで、パートナーへ財産の多くを遺すことができます。法定相続人が一人もいない場合だと原則財産は国に帰属しますが、遺言書があればその通りに相続がなされます。両親が存命の場合でも、遺留分(相続財産の3分の1)以外は遺言書の通りに分配できます。

注意点としては、有効な遺言書の書き方を確認する必要があること、必ずしも遺言書通りになるとは限らないこと等が挙げられます。

「自分の死後パートナーに財産を渡したい」という基本的な望みでも、現状では異性間と同性間で制度上大きな格差があります。日本ではまだまだ議論が不十分ですが、制度の改正が待たれます。

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路線価

こんにちは安藤税理士法人の鬼頭です。平成29年7月3日に国税庁から路線価が発表されました。路線価とは、相続税・贈与税において土地の評価額を計算する際の1㎡当たりの価格であり、市場時価のおおよそ70%~80%と言われております。1月1日時点での評価額なのですが、計測地点が多いので集計に時間かかるため、毎年発表がこの時期になります。

相続税・贈与税の土地の評価額は、原則として宅地、農地、山林などの地目ごとに評価し、路線価方式、倍率方式、宅地比準方式などで計算します。

1. 路線価方式 (路線価が付されている宅地)

路線価✕面積✕補正率=土地の評価額

2. 倍率方式 (路線価が付されてない宅地、農地、山林など)

固定資産税評価額✕国税局長が地域ごとに定める倍率=土地の評価額

3. 宅地比準方式 (市街地農地、市街地山林など)

(宅地として計算した1㎡あたりの金額-1㎡あたりの造成費)×面積=土地の評価額

平成29年の路線価全体の傾向を見てみると標準宅地は前年比0.4%の上昇となっており2年連続で上昇しました。日本一高い路線価を32年維持している東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り(鳩居堂前)が過去最高だった1992年の3,650万円を上回り、1㎡あたり4,032万円となりました。ちなみに当事務所の接する路線価を国税庁のホームページから調べてみると7万1千円でした。

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生前贈与

安藤税理士法人の山田です。生きているうちに財産を贈与することで相続財産を減らし、亡くなった時にかかる相続税を減らすことができる生前贈与は、相続税の対策として効果的です。ただ贈与された人には贈与税がかかります。年間110万円までの贈与や60歳以上の親または祖父母から20歳以上の子供か孫への贈与の場合、2,500万円までは贈与税がかかりません。他にも様々な非課税制度や控除をうまく利用し生前贈与すれば税金を払わず贈与することができます。

生前贈与をする場合の注意として、2つの条件を満たす必要があります。

  • 贈与する人とされた人の間で合意していること
  • 贈与された人が財産を自由に管理・使用できる状態であること

例えば、孫の口座に振込みをしても孫にそのお金が贈与されたものと認識がない場合や、親が子供の口座に振込んでいたとしても通帳や印鑑は親が管理している場合は、贈与として認められない可能性があります。そのためにも贈与契約書を作成し、贈与する人とされる人が記名・押印をして証明できるようにしておくが大切です。

また未成年への贈与は、未成年の子が贈与の事実を知っていたかどうかは関係なく、親権者が同意すれば贈与契約が成立します。贈与契約書には親権者の記名・押印が必要になります。成年になってから通帳や印鑑は本人が管理します。

最後に、贈与する人は相手のメリットを考えた上で生前贈与する必要があります。贈与される人によっては、税金やその他に伴う費用が発生しデメリットになる場合もあります。

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相続税と養子縁組

安藤税理士法人の土屋です。現在、相続税の基礎控除額は【3000万円+600万円×法定相続人の数】と定められています。したがって法定相続人が多いほど控除額も多くなります。

そのため、被相続人を養親とする養子縁組が、相続税の節税に有効なスキームとして知られています。ただ養子を取れば無限に相続税が減らせるというわけではなく、相続税法上、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人まで養子を控除対象の法定相続人数に含めることができます。

よくあるのが、被相続人とその孫が養子縁組を行うというケースです。養親と養子の合意のもと届出を一通提出するだけなので、コストも手間もかからない節税方法とされています。

平成29年1月に、このような節税を目的とした養子縁組が有効かどうかの裁判で、最高裁の判決がでました。

今回の事案は、被相続人の男性が孫(長男の息子)と養子縁組を結んだのが発端で、「節税目的の養子縁組であり、無効だ」として長女と次女が提訴したものです。

養子縁組については、長男が連れてきた税理士が「相続税の節税効果がある」と説明していた経緯があり、一審では有効、二審では「専ら節税を目的としており、当事者間に親子関係を創設する意思はなかった」として無効の判決がなされていました。

これに対し最高裁は、「節税の動機と縁組の意思は併存し得るものである。専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、ただちに縁組の意思がないとは言えない」として、養子縁組は有効と判断しました。

今回は民法上の縁組が有効かどうかを争った裁判であったので、相続税法上で有効である(税務署に否認されない)と結論が出たわけではありません。相続税法63条には「養子縁組が相続税を不当に減少させる場合は否認できる」という趣旨の定めがあります。

とはいえ、この法律を根拠に否認された例はほとんど無く、当事者間の正しい合意のもとなされた縁組(つまり民法上有効な縁組)であれば、不当な租税回避行為ではないと解釈するのが妥当だと思います。

相続税対策としての養子縁組が広まるなか注目された裁判は、現状を追認した判決となりました。

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タワーマンション節税が規制されます

平成29年度税制改正法案は2月、閣議決定され国会へ提出されました。本改正案にはタワーマンションを利用した節税策に対する規制が盛り込まれています。富裕層の間で行われてきた相続税対策の手法であるタワーマンション節税、略してタワマン節税が狙い撃ちされました。

不動産を相続財産として評価する際には、固定資産税評価額が計算の基礎とします。一般的な不動産の価値評価であるマンションの階数や角部屋といった要素は、相続税の評価においては全く考慮されません。

不動産市場において、マンションの実際の取引価格は高層階ほど高くなる傾向がありますが、固定資産税評価額は階数にかかわらず同一です。タワマン節税は、市場価格と固定資産税評価額の差額を利用して、相続税負担を抑える方法です。

この改正で、マンション全体の固定資産税は変えずに、階層が上がる高層階になるほど固定資産税の負担が増えるようになります。これにより高層階では増税、低層階では減税となります。マンションの建物部分の相続税評価額は、固定資産税評価額に基づいて決まるため、高層階になるほど相続税も増額となります。

対象物件は新築のみで、平成30年度以降に課税対象となるマンションから適用となります。

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相続税の課税対象者が約2倍に!!

昨年末、国税庁から平成27年中に亡くなられた方に係る相続税の申告状況の概要について発表がありました。平成25年度税制改正により、平成27年1月1日以後の相続等について基礎控除額の引下げが行われたことから、相続税の課税対象となった被相続人数及び課税割合は、前年分より大幅に増加しました。

相続税増税の影響で、従来までは課税対象ではなかった多くの人に相続税が掛けられていることが分かります。

課税対象となった件数については、平成27年に死亡した129万444人のうち、相続税の課税対象となったのは10万3043人で、前年の5万6239人から2倍近く増加しました。課税割合も4.4%から8.0%と大幅に増加しました。

また、被相続人一人当たりの税額は前年の2473万円から1758万円に下がったものの、課税総額は同1兆3908億円から1兆8116億円にまで増加しました。なお、金額ベースでみた相続財産の種類の構成割合は、土地38%、家屋5.3%、現金・預貯金等30.7%、有価証券14.9%、その他11%でした。

以上のとおり、相続税はもはや一部の富裕層だけの税金ではありません。都市部またはその郊外に不動産をお持ちの方は、対象になる可能性が十分にありますのでご注意ください。

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どっちが優先?遺言と遺産分割協議書

◆年々増える遺言作成件数

相続・遺言に対する関心は年々高まっており、平成26年1月~12月に全国の公証役場で作成された遺言(公正証書遺言)は10年前から約4万件も増加し、ついに10万件を超えました。家庭裁判所で扱われた遺産分割事件も同様に増加傾向にあり、こうした背景も影響していることがうかがえます。故人の遺志をできるかぎり尊重したいものですが、遺言を書いたときと相続時では家族の状況が変わってしまうということもあります。では、遺言の内容と異なる遺産の分割をすることは可能なのでしょうか。

 

◆遺言と違う遺産分割は可能?

相続人の間で遺産分割の方法を話し合うことを遺産分割協議と言い、その結果を書面にしたものが遺産分割協議書です。

判例では、①遺言によって遺産分割協議が禁止されている場合、②遺言執行者が選任されている場合を除き、遺言と異なる内容の遺産分割協議をすることは事実上認められています。実際、遺言と異なる遺産分割の方法を協議することは珍しくありません。

しかし、だからと言って全て遺産分割協議書が遺言に優先する、という意味ではありません。遺言の内容によっては注意が必要です。

 

◆遺産分割の方法が指定された遺言

過去、最高裁では、特定の財産を特定の相続人に相続させる内容の遺言の場合、遺言者の死亡によって、財産は直ちに確定的に相続人に帰属するとした判決が行われました(平成3年4月19日最高裁判決)。「特定の財産を特定の人に相続させる内容」とは、たとえば「長男○○に埼玉県××の土地を相続させる」というのがこれにあたります。この場合、その後に行った遺産分割は本来の意味での「遺産分割」ではなく、相続人間の取引として財産が移転するものとされています。

その結果、不動産の相続登記を行う際、遺産分割協議の結果をすぐさま登記できず、まずは「遺言に基づく登記」をした後、「相続人間の取引の登記」の二段階で申請しなければならないなど、相続事務に支障をきたすことがあります。こうなると手続き費用も手間も二重にかかってしまいますので、注意が必要です。

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相続税の物納

安藤税理士法人の土屋です。税金は現金での納付が原則です。しかし相続税については、金銭で納付することが困難な場合に限り、相続財産による物納が認められています。

土地を相続したが現金が手元になく相続税を払えない…ということがよくあります。その場合、選択肢は2つあります。「土地を売却して得た現金を納める」か、「土地を物納する」かです。

どちらを選ぶべきなのか?どちらが得なのか?それぞれにメリットとデメリットがあるので見てみましょう。

【土地を売却して得た現金を納める場合】

〔メリット〕相続税評価額より売却額の方が高い場合が多く、納税後も現金が手元に残る可能性がある。売却益にかかる所得税の減税制度がある。

〔デメリット〕不整形地や広大な土地は売りにくく売却金額が下がる。売却金額の交渉が長引くと疲れる。納期限に間に合わないと滞納税や利子税がかかる。

【土地を物納する場合】

〔メリット〕不整形地など市場での売却が難しい土地も処分できる。市場価格が低い土地は物納の方が有利。

〔デメリット〕市場価格の方が高くても路線価でしか評価されない。土地によっては物納申請が却下される可能性があり、申請が通らなくても測量・境界確定費用は返還されない。瑕疵担保責任が5年間(通常売買では1年間)と長期で、不動産に欠陥があった場合に費用負担する必要がある。

上記のように、考慮すべき要件はたくさんあります。土地によっても違うので、一概にどちらが良いと言うことはできません。

いずれにしても、相続財産を把握し、納税手段を確認しておくという早め早めの対策が重要です。

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生命保険金の課税関係

こんにちは安藤税理士法人の鬼頭です。今回は生命保険金を受け取った場合の課税関係についてまとめました。不慮の事故や病気などで被保険者が死亡し、保険金受取人が死亡保険金を受け取った場合には、被保険者、保険料の負担者及び保険金受取人がだれであるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。(受け取った金額が基礎控除額以下の場合など一定の場合には税金は発生しません。)

1. 所得税の課税対象になる場合

所得税の課税対象になるのは、保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合です。ご主人が亡くなられた場合に、奥様が保険料を負担しており、奥様が保険金を受け取った場合には所得税の課税対象になります。この場合の死亡保険金は、受取の方法により、一時所得又は雑所得として課税されます。

① 死亡保険金を一時金で受領した場合

死亡保険金を一時金で受領した場合には、一時所得になります。

② 死亡保険金を年金で受領した場合

死亡保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。

2. 相続税の課税対象になる場合

相続税の課税対象になるのは、 被保険者と保険料の負担者が同一人の場合です。ご主人が亡くなられた場合に、ご主人が保険料を負担しており、奥様が保険金を受け取った場合には、相続税の課税対象になります。受取人が被保険者の相続人であるときは、相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされます。

3. 贈与税の課税対象になる場合

贈与税の課税対象になるのは、被保険者、保険料の負担者及び保険金の受取人がすべて異なる場合です。ご主人が亡くなられた場合に、奥様が保険料を負担しており、長男が保険金を受け取った場合には、奥様から長男へ贈与があったものとみなし、贈与税の課税対象となります。

 

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みなし相続財産

安藤税理士法人の加藤です。相続人が取得する財産のうち、本来の相続財産の他に、被相続人が死亡時に所有していなくても、その死亡に起因して相続人が取得する財産も税法上は相続財産とみなして相続税の課税対象になるものがあります。

今回はその主なみなし相続財産である①生命保険金、②死亡退職金を紹介します。

①生命保険金

被相続人の死亡により相続人が生命保険金を受け取る場合で、その保険料を被相続人が負担していた場合には、実質的に被相続人の財産が死亡によって相続人に移転することになります。これを相続による移転と同様とみなして、相続税法上では相続財産とみなされます。保険料の負担者が被相続人でない場合などには、受取人によって所得税又は贈与税の対象になることがあります。

②死亡退職金

被相続人の退職金等が死亡により相続人に支給された場合は、その支給が死亡後3年以内に確定したものなら、それは相続又は遺贈により取得したものとみなされます。3年以内に確定しなかったものは所得税の対象となります。
死亡退職金は相続人に直接支給されるものなので、被相続人の死亡により被相続人から相続人に対して移転するものではありませんが、退職金は被相続人が将来の退職時に取得する財産であり、これも実質的には被相続人の死亡により相続人に移転した財産とみなして、相続税法上は相続財産とみなされます。

いずれの場合も全てが課税対象になるわけではなく、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、この金額を超えた部分が相続財産になります。

相続人以外が生命保険金や死亡退職金を取得した場合には、非課税枠の適用はありませんのでご注意下さい。

 

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